ラスタライズとは何?Photoshopでレイヤーのラスタライズ処理を解説

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Photoshopでテキストレイヤーやスマートオブジェクトの編集中に「レイヤーのラスタライズ処理を行わずにピクセルを変更できません。」というような警告が出て、作業の手が止まるのは一度や二度ではないでしょう。また、印刷にデータを入稿する際に「ラスタライズして下さい」と念を押されることも多いと思います。

今回は「ラスタライズ」とは何か?という疑問への答えと、レイヤーごとに処理するPhotoshopでの「ラスタライズ」について解説します。

ラスタライズとは何か? ラスタライズする意味とは?

「ラスタライズ(英:rasterize)」とは、ベクター画像や文字データをラスター画像に変換することです。

ベクターデータの代表格はAdobe IllustratorのAiデータ、テキストツールで入力した文字データ、幾何学的なシェイプデータなどで、拡大縮小しても劣化しないという特徴を持っています。ただ、ベクターデータは「設定できない効果がある」「設定できても操作の度に再計算されるためサイズが重くなり過ぎる」「印刷時に透明効果やドロップシャドウが反映されない」などの難点が生じやすい形式でもあります。

これらに対処する意味から、作業の過程でラスター形式の画像に変換する必要が出てくるわけです。

ラスター(raster)画像は別名「ピクセル画像」「ビットマップ画像」とも呼ばれ、微細な色の四角で構成されています。「ラスタライズ」を行うと、オブジェクト・効果・文字は色の集合体に変わります。問題を引き起す特殊な情報がなくなり、データサイズの軽減や印刷時のトラブル回避が可能になるのです。

ラスタライズの解除はできないので注意!

ベクターからラスターへの変換はできても、ラスターからベクターへの変換はできないので注意が必要です。ラスタライズ直後なら操作を取り消すことができますが、確定したラスター画像をベクター化するのは今のところ無理です。元のベクターデータを複製した上でラスタライズを実行することをお勧めします。

ラスタライズとアウトライン化は違うもの!

「ラスタライズ」と「アウトライン化」は混同されやすい機能ですが、別物です。「アウトライン化」はAdobe Illustratorの機能で、文字データをパスに変換することです。アウトライン化した文字もベクターデータであり、画像化するにはラスタライズしなければなりません。

Photoshopでの「ラスタライズ」はレイヤーごとに処理する

Adobe Photoshopでラスタライズする対象は「レイヤー」になります。

レイヤーをラスタライズする手順

  1. レイヤーパネルでラスタライズするレイヤーを選択する
  2. 右クリックする
  3. プルダウンから「レイヤーをラスタライズ」をクリックする

また、「レイヤー」メニュー➔「ラスタライズ」から、ベクターの種類ごとにラスタライズを実行できます。

すべてのレイヤーを一括でラスタライズするなら、「レイヤー」メニュー➔「ラスタライズ」➔「すべてのレイヤー」で処理します。※ただし、レイヤースタイルはラスタライズされません。
Adobe Photoshopにおいて「ラスタライズ」が必要になる場面は、ラスター画像にのみ適用可能な効果・編集を行う場合、印刷に入稿するデータを作成する場合が挙げられます。また、パソコンの動作が重くなって、データサイズを軽くするためにラスタライズすることもあるでしょう。
Photoshopでラスタライズの対象になるのは以下のベクターレイヤーです。

テキスト(文字)レイヤー
文字ツールで入力した、フォント情報を持つ文字レイヤーです。

レイヤースタイルが追加されている場合、「テキストをラスタライズ」と「レイヤースタイルをラスタライズ」が選択できます。「テキストをラスタライズ」するとレイヤースタイルはそのまま保持されますが、「レイヤースタイルをラスタライズ」すると文字もラスタライズされます。

シェイプレイヤー
図形ツールのパス・シェイプで描画したオブジェクトです。

フィルター効果を適用する際、「このシェイプレイヤーは、あらかじめラスタライズするか、スマートオブジェクトに変換する必要があります。ラスタライズするとシェイプレイヤーとして編集できなくなります。」という警告が表示され、「スマートオブジェクトに変換」か「ラスタライズ」を強行かの選択を迫られます。ラスタライズすべき理由がないなら、スマートオブジェクトに変換➔スマートフィルターの適用をお勧めします。

塗りつぶしレイヤー
レイヤーパネルで作成した「塗りつぶしレイヤー」の塗りつぶし内容(べた塗り、グラデーション、パターン)です。

ラスタライズすると塗りつぶしの内容は固定され、グラデーションの修正などはできなくなります。

ベクトルマスク
ベクトルマスクはパスで作成するマスクです。

レイヤーマスクと違って、解像度に依存せず、劣化無しの自由変形が可能です。ラスタライズすると、ベクトルマスクで切り取った範囲が画像化されて、非表示の部分は消去されます。

スマートオブジェクト
スマートオブジェクトは画質を保持したままで画像を編集でき、Illustratorで作成したデータをPhotoshopで扱える機能です。ただし、ブラシツールや消しゴムツールは使えません。

スマートオブジェクトはラスタライズすることで解除することができます。

生成
生成した画像のバリエーションから選択してラスタライズし、通常の画像と同様に編集できます。
ビデオレイヤー
ビデオレイヤーのフレームをラスタライズして、1つの静止した画像を作成できます。
3Dレイヤー
Photoshopの3D機能は現在廃止されていますが、3Dレイヤーを含むPSDファイルを開くことはできます。

3Dレイヤーはそのままでは編集できないので、ラスタライズして2D画像として扱うことになります。

レイヤースタイル
レイヤースタイルが適用されたレイヤーをラスタライズすることで、ドロップシャドウやグラデーションオーバレイなどが画像に固定されます。

ラスター化された画像に再度同じレイヤースタイルを適用してデザインする時などに役立ちます。

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本記事では「ラスタライズ」について解説しました。

ラスタライズしたレイヤーはベクターデータとは異なり、効果の調整や変形が難しくなります。ベクターに戻すこともできないので、ラスタライズの処理は慎重に行いましょう。