※ Adobe Photoshop 2025の画像で解説しています。
※描画モードでの合成に使用した写真は「Adobe Stock」でライセンスを取得した素材、及び、「写真AC」「ぱくたそ」」のフリー素材です。(サイト掲載の写真・画像について)
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Photoshopには、レイヤー同士を合成して様々な効果を生み出す「描画モード」機能があります。例えば、道路の写真に影を落としたり、背景の模様を文字に反映させたりする加工を「描画モード」を選択するだけで簡単に実装できます。
描画モードでの画像合成サンプル
今回は、Photoshopの「描画モード」の種類と使い方(描画モードの設定場所、仕組み、使い方、描画モードの種類一覧と各描画モードの解説、描画モードの合成例)を解説します。
Photoshopの「描画モード」を設定する場所
Photoshopの描画モードは、「レイヤーパネル」「レイヤー効果のダイアログボックス」「ブラシツールや塗りつぶしツールのオプションバー」で設定します。
本記事では「レイヤーパネル」での画像合成で設定する「描画モード」を解説していきます。「レイヤーパネル」で描画モードを設定する場所は「通常」と表示されている小窓です。

「描画モード」の仕組み
「描画モード」は2つの色を合成して別の色を生成する機能です。合成を受けるベースレイヤー(レイヤーパネルで下に配置されたレイヤー)の色を「基本色」、合成を仕掛けるブレンドレイヤー(レイヤーパネルで上に配置されたレイヤー)の色を「合成色」、合成によって生成される色を「結果色」といいます。
レイヤーパネルで、基本色のベースレイヤーは下に、合成色のブレンドレイヤーは上に配置します。
グループの描画モード「通過」
Photoshopではグループ内のレイヤーからグループ外のレイヤーに向けて描画モードを設定した時はグループの描画モードは「通過」になります。「通常」のままだと描画モードの効果が反映されない仕組みになっています。
Photoshopの「描画モード」の使い方
- ベースレイヤーの上にブレンドレイヤーを作成し、選択します。
- 「通常」と表示されている小窓をクリックし、プルダウンメニューを引き出します。
- 描画モードを一つずつポイントするごとに結果色が画像に反映されます。
- 適用する描画モードをクリックして選択します。

Photoshopの「描画モード」の種類一覧
Photoshopのレイヤーパネルで画像合成する「描画モード」は27種類あり、6つのカテゴリーに分類されています(2025年現在)。
カテゴリー |
描画モード |
通常 |
通常 |
ディザ合成 |
暗くする描画モード |
比較(暗) |
乗算 |
焼き込みカラー |
焼き込み(リニア) |
カラー比較(暗) |
明るくする描画モード |
比較(明) |
スクリーン |
覆い焼きカラー |
覆い焼き(リニア-加算) |
カラー比較(明) |
コントラストを強める描画モード |
オーバレイ |
ソフトライト |
ハードライト |
ビビッドライト |
リニアライト |
ピンライト |
ハードミックス |
色を比較して合成する描画モード |
差の絶対値 |
除外 |
減算 |
除算 |
HSL(色相・彩度・輝度)の値に応じて
合成する描画モード |
色相 |
彩度 |
カラー |
輝度 |
ここからは、それぞれの描画モードの解説と、描画モードを使用した画像をご案内します。(※背景の写真を基本色(ベースレイヤー)とし、Blendの文字・境界線の2つの色と、黒・白のバーを合成色(ブレンドレイヤー)として、各描画モードで合成しています。)
「通常」は、初期設定モードで「合成なし」の状態です。
描画モードを解除したい時は「通常」を選択します。
描画モード「通常」
「ディザ合成」は「不透明度」に応じて基本色と合成色の両方がランダムに粒子状になります。不透明度を下げるほど粒子が荒くなるので、かすれや滲みを表現するのに使われます。
描画モード「ディザ合成」で合成 ※合成色の不透明度を50%にしています。
「比較(暗)」は基本色と合成色を比較して、RGB値それぞれの暗い方(数値の小さい方)を選択します。「基本色 R:227 G:135 B:176」「合成色 R:139 G:149 B:222」を比較(暗)で合成すると、結果色が「R:139 G:135 B:176」になります。画像の重なり部分を自然に暗くしたい時に使われます。
描画モード「比較(暗)」で合成
「乗算」は基本色と合成色を掛け算して合成します。重なり部分が暗くなるのは「比較(暗)」と同じですが、黒はそのまま黒、白は消えます。黒は「0」なので、どの色と掛け算しても黒、白は「1」なので、掛け算した相手の色に置き換わるということです。「乗算」はレイヤー効果の「ドロップシャドウ」のデフォルト描画モードであるように、背景に影を落とすのによく使われます。
描画モード「乗算」で合成
「焼き込みカラー」は基本色の陰影をを暗くした上で合成色を反映します。暗くなった基本色に合成色の色が微妙に乗る感じです。基本色の影の部分がバーナーで焼いたように色濃くなって、コントラストがはっきりします。「乗算」や「比較(暗)」よりメリハリのある陰影を表現したい場合に使われます。
描画モード「焼き込みカラー」で合成
「焼き込みカラー」は陰影が暗くなりますが、「焼き込み(リニア)」は基本色が均一に暗くなります。「焼き込みカラー」より合成色の反映は強まり、コントラストは弱まります。暗く合成する時は「乗算」が多く使われると思いますが、「乗算」の結果色に合成色を強めに反映させたい時には「焼き込み(リニア)」を選択してみましょう。
描画モード「焼き込み(リニア)」で合成
「カラー比較(暗)」は「比較(暗)」と同様にRGB値の暗い方を選択しますが、結果色は生成されず、基本色と合成色のどちらか暗い方をそのまま返します。特定の色を変化させずに画像に反映させたい時に使われます。例えば、背景より暗く、被写体より明るい色で背景をベタ塗りするような使い方もできます。
描画モード「カラー比較(暗)」で合成
「比較(明)」は基本色と合成色を比較して、RGB値それぞれの明るい方(数値の大きい方)を選択します。「基本色 R:227 G:135 B:176」「合成色 R:139 G:149 B:222」を比較(明)で合成すると、結果色が「R:227 G:149 B:222」になります。合成色の白はそのまま白が返り、黒は基本色が返ります。黒いシルエットで背景模様を型抜きする使い方もできます。
描画モード「比較(明)」で合成
「スクリーン」は基本色と合成色を反転した上で掛け算して合成します。白はそのまま白、黒は消えます。白は反転して「0」になり、どの色と掛け算しても白、黒は反転して「1」になり、掛け算した相手の色に置き換わるということです。「スクリーン」はレイヤー効果の「光彩」のデフォルト描画モードであるように、ハイライトを自然に作るのによく使われます。薄い単色と写真を合成すると、半透明の白い膜を貼ったような効果が出ます。
描画モード「スクリーン」で合成
「覆い焼きカラー」は基本色の明るい部分をより明るくして合成色と合成します。明るい合成色で合成すると白い範囲が強く目立ち、白いライトを当てたようになります。これを利用して、金属の輝きや日差しに煌めく水面のような強い光を表現したい場合に使われます。
描画モード「覆い焼きカラー」で合成
「覆い焼き(リニア)-加算」は基本色が均一に明るくなります。「覆い焼きカラー」より、全体にムラなく白く、明るくなるので、真夏に照りつける太陽の明るさを表現したい時などに使われます。
描画モード「覆い焼きカラー(リニア)-加算」で合成
「カラー比較(明)」は「比較(明)」と同様にRGB値の明るい方を選択しますが、結果色は生成されず、基本色と合成色のどちらか明るい方をそのまま返します。「カラー比較(暗)」と同様に特定の色を変化させずに画像に反映させたい時に使われます。例えば、暗いシルエットに明るい色を均一に反映させるような使い方ができます。
描画モード「カラー比較(明)」で合成
「オーバレイ」は基本色の色の明るさに応じて「乗算」「スクリーン」を使い分けて結果色に反映させます。基本色の影と光をキープしながら基本色と合成色を混合するわけです。レイヤー効果に「カラーオーバレイ」「グラデーションオーバレイ」があるように、画像の明暗を変えずに色相を変化させる使い方ができます。
描画モード「オーバレイ」で合成
「ソフトライト」は合成色の明るさに応じて、基本色を明るく、または暗くします。合成色が明るい範囲はソフトなライトが当たったように明るく基本色を反映し、合成色が暗い範囲はソフトな影がさしたように暗く基本色を反映します。適用度が控えめな印象の結果色が生成されます。
描画モード「ソフトライト」で合成
「ハードライト」は合成色の明るさに応じて、基本色を「乗算」「スクリーン」を使い分けて結果色に反映させます。合成色が明るい範囲はスポットライトが当たったように明るく基本色を反映し、合成色が暗い範囲は強い影を落としたように暗く基本色を反映します。金属の光沢や炎の強調など、コントラストを必要とする明るさの表現に使われます。
描画モード「ハードライト」で合成
「ビビッドライト」は合成色の明るさに応じて、コントラストを増減します。明るい範囲はよりコントラストを下げ、暗い範囲はよりコントラストを上げます。結果、明るさと暗さの距離が大きくなるので、基本色の輪郭が明瞭に反映されます。ベースレイヤーの模様を浮き上がらせながらブレンドレイヤーの色を反映させたい時などに使われます。
描画モード「ビビッドライト」で合成
「リニアライト」は合成色の明るさに応じて、基本色を「焼き込み」「覆い焼き」を使い分けて結果色に反映させます。合成色が明るい範囲は覆い焼きを適用したように明るく基本色を反映し、合成色が暗い範囲は焼き込みを適用したようにように集中的な暗さで基本色を反映します。「ハードライト」より人工的な印象になり、インパクトのある色相で強くアピールしたい時などに使われます。
描画モード「リニアライト」で合成
「ピンライト」は、明るい色で合成すると暗い範囲に合成色が強く反映され、暗い色で合成すると明るい範囲に合成色が強く反映されます。50%グレー1色で合成すると基本色が変化無しで表示され、黒・白・原色で合成すると基本色からは何も反映されません。Adobeの公式によると「ピンライト」は特殊効果を追加する時に役立つということですが、通常の使い方だと「ソフトライト」を若干はっきりさせたような印象になります。
描画モード「ピンライト」で合成
「ハードミックス」は合成色と基本色の各チャンネルRGB値を合計し、255以上は255、未満は0になります。結果、どの色も黒・白・赤・青・緑のどれかに置き換わり、ポップアート風の効果が得られます。使う頻度は高くない気がしますが、線画抽出機能などと連携させると面白い画像ができあがりそうです。
描画モード「ハードミックス」で合成
「差の絶対値」で合成すると、合成色と基本色の大きい方から小さい方を引き算したRGB値の色に置き換わります。白で合成すると基本色が反転し、黒で合成すると基本色が変化せずに反映されます。多くの場合、元画像とはガラリと雰囲気が違う結果になります。デザインに行き詰まった時など描画モードを「差の絶対値」にしてみると、ヒントが見つかることがあります。
描画モード「差の絶対値」で合成
「除外」は「差の絶対値」とよく似た結果になりますが、コントラストが抑えられるので少しだけ落ち着いた印象になります。
描画モード「除外」で合成
「減算」は基本色から合成色のRGB値を引き算します。引き算でマイナスになった場合は「0」になります。合成色が白ならRGB値がすべて「0」になりますから、黒に変化します。合成色が黒なら基本色が変化せずに反映されます。
描画モード「減算」で合成
「除算」は基本色を合成色で割り算し、255を掛け算して結果色を生成します。マイナスになった場合は「0」、255以上なら「255」です。「除算」で合成する場合、変化しないか、明るくなるかどちらかです。合成色が黒(または同色)なら白に変化し、白なら基本色が変化せずに反映されます。特定の色味が出過ぎた写真と、特定の色と同系色の合成色を「除算」することで色調補正する使い方もできます。
描画モード「除算」で合成
「色相」は合成色の元色(色相)をベースに基本色の輝度と彩度を反映させます。合成色の色相を変えずにオーバレイしたような印象になります。
描画モード「色相」で合成
「彩度」では、基本色に合成色の彩度が反映されます。合成色の色相は無視され、彩度だけが基本色に乗る感じです。下図では、ブレンドレイヤーの文字の彩度とベースレイヤーの写真の彩度が近かったため、文字のほとんどが消えています。黒と白はどちらもモノトーンになっています。
描画モード「彩度」で合成
「カラー」は合成色の元色(色相)と彩度をベースに基本色の輝度を反映させます。彩度がプラスされるので、描画モードの「色相」よりも色の鮮やかさや陰りがはっきり出ます。
描画モード「カラー」で合成
「輝度」では基本色の色相と彩度に合成色の輝度だけが反映され、合成色の色相と彩度は無視されます。明るい基本色に描画モードの「輝度」で合成するとモノトーンに近くなり、暗い基本色ではくすみながらも色が出ます。少し色の乗ったモノトーン写真を作るなどの使い方ができます。
描画モード「輝度」で合成
Photoshopの「描画モード」で合成した写真・画像(参考)
以下は、「手に持った水晶の球」と「放射線状の光」の画像を、2つの描画モード「スクリーン・カラー」で合成した簡単な作成サンプルです。
レイヤーの順序を変えて、別の描画モードを適用しても、同じ結果が得られる可能性もあります。いろいろ試してみて下さい。
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以上、「描画モード」について図解しました。