Illustratorで2D平面イラストから3D立体イラストを作る方法

※ Adobe Illustrator 2024の画像で解説しています。

CGDOOR
Illustratorには初心者にも操作しやすい3D機能があります。今回はIllustratorを使った3Dイラストの作り方をご紹介します。

平面的な2Dイラストを立体的な3Dイラストに作り変えてみましたので、よろしければ参考にして下さい。

3D(スリーディー)とは、CG(コンピューターグラフィックス)における「立体」を表す用語で、3次元という意味の「three dimensions」の略語です。

「平面」を表す「2D」が幅と高さの2次元で表現するのに対し、「3D」は幅・高さ・奥行きの3次元で表現します。「3Dイラスト」と言った場合は、奥行きを感じさせるCG全般を指します。

Illustratorの「膨張」で3Dイラストを作る手順

Illustratorの「3Dとマテリアル」で3D化する種類は「平面3D」「押し出し」「回転体」「膨張」がありますが、今回は「膨張」を使って、少しツヤツヤさせた可愛い3Dイラストを作りたいと思います。

Illustratorで3D立体イラストを作る方法1
3D化する前の平面イラストと、3D化した後の立体イラストです。

3Dイラストに加工する平面イラストの部品は以下のようになります。

Illustratorで3D立体イラストを作る方法2
3D化しないでイラストに入れる「目の光」や「頬の赤み」は別部品として最後に使います。

Illustratorの「3Dとマテリアル」パネルの設定

「効果」メニュー➔「3Dとマテリアル」➔「膨張」をクリックするか、または「ウィンドウ」メニュー➔「3Dとマテリアル」をクリックしてパネルを開きます。

「3Dとマテリアル」パネルは「オブジェクト」「マテリアル」「ライト」の3つのタブに分かれ、それぞれ「形状」「質感」「陰影」を設定します。

【オブジェクト】で3Dの形状を設定する
「3Dとマテリアル」パネルを開いたら、まず、「オブジェクト」タブをクリックして開きます。

今回の3D化で共通の設定
  • 右端にある「膨張」アイコンをクリックして設定画面を展開する(今回、2Dイラストを3Dイラストにする工程は全て「膨張」で行うため)
  • 「奥行き」を「0」に設定する(今回はイラストを回転させて奥行きを表現する必要がないため)
  • 「ねじり」は「0°」「テーパー」は「100%」のままにする(今回は変更の必要がないため)
今回の3D化で個別に行う設定
  • 「ボリューム」は3D化する部品によって数値を変更する

Illustratorで3D立体イラストを作る方法3

【マテリアル】で3Dの質感を設定する
次に、「マテリアル」タブをクリックして開きます。

今回の3D化で共通の設定
  • 「マテリアル」の種類は「初期設定」のままにする
今回の3D化で個別に行う設定
  • 「粗さ」は3D化する部品によって数値を変更する(数値が小さいほど質感が滑らかで光沢が出て、大きいほどマットになる)
  • 「メタリック」は3D化する部品によって数値を変更する(数値が大きいほど金属の質感が増す)

Illustratorで3D立体イラストを作る方法4

【ライト】で3Dの陰影・明暗を設定する
次に、「ライト」タブをクリックして開きます。

今回の3D化で共通の設定
  • 「カラー」は今回の例では「白」のままにする
  • 「シャドウ」は今回の例では使わない
今回の3D化で個別に行う設定
  • 「強度」「回転」「高さ」「柔らかさ」「環境光の強度」はすべて、3D化する部品によって数値を変更する

Illustratorで3D立体イラストを作る方法5

3Dイラストを作る

ここからは実際にイラストを3D化していきます。

足やバックルの金属部分など、平行に近接して並ぶ同じ形状のオブジェクトはグループ化した上で、まとめて3Dを適用します。

Illustratorで3D立体イラストを作る方法6

重なり合ったオブジェクト同士(顔と目、スカートとサスペンダー)をグループ化した上で、まとめて3Dを適用します。

Illustratorで3D立体イラストを作る方法7
「膨張」では、顔と目のように重なり部分が凹んでバベルを適用した感じに仕上がります。

残りの単独オブジェクトに3Dを適用します。

Illustratorで3D立体イラストを作る方法8
手は形状が同じオブジェクトですが、右手と左手で「ライト」の回転角度が逆になるので、それぞれ単独で3Dを適用しています。

「目の光」「鼻」「頬紅」「口」は3Dを適用しないで、最後に合成します。

  • 【目の光】: 白の小さな丸い図形を作成して目に配置
  • 【鼻】: 丸い図形に円形グラデーションを適用して配置
  • 【頬紅】: ピンクの丸い図形に「効果」➔「スタイライズ」➔「ぼかし」を適用。顔に配置し、「透明」パネルで合成モードを「乗算」にする
  • 【口】: 線で描き、「効果」➔「スタイライズ」➔「ドロップシャドウ」を適用

Illustratorで3D立体イラストを作る方法9

「膨張」の設定が完了したら、「3Dとマテリアル」パネルの右上にある「レイトレーシングでレンダリング」アイコンをクリックしてレンダリングします。

Illustratorで3D立体イラストを作る方法10

Illustratorで3Dイラストを作る時の注意点

「3Dとマテリアル」➔「膨張」➔「ライト」の「シャドウ」は細かい調整ができない
今回、2Dイラストを3Dイラストに作り変える過程で、立体化を補強するのに影を付けたいと思いましたが、「3Dとマテリアル」➔「膨張」➔「ライト」の「シャドウ」は影の色や不透明度の調整がほとんどできません。

Illustratorの「3Dとマテリアル」でイラストを制作する場合、オブジェクトの影は「効果」➔「スタイライズ」➔「ドロップシャドウ」で適用することをおすすめします。

「3Dとマテリアル」のレンダリングは重い・遅い・いきなり落ちる
Illustratorの「3Dとマテリアル」機能は全般にメモリの消費が激しく、パソコンの動作が重くなりがちです。特にレンダリングが完了するまでに時間がかかります。

このメモリ不足による作業の遅さを解消するには、

  • Illustrator以外のアプリを閉じておく
  • 作業中のアートボード以外を閉じる
  • 3D化するオブジェクトをできるだけ小さくする
  • イラストの編集中は「レイトレーシングでレンダリング」を解除しておく

これらが有効です。

複雑で大きいオブジェクトを3D化する場合、フリーズしたり、突然Illustrator自体が落ちることもありますから、注意が必要です。

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