※ Adobe Illustrator 2024の画像で解説しています。

印刷サービスにデータ入稿しようとすると「フォントのアウトライン化が必須」と言われますね。「アウトライン化」とは、フォントで入力された文字を画像に変換することです。
Illustratorでアウトライン化した文字は、パスで囲まれたベクター画像に変換され、Photoshopでアウトライン化した文字はラスタライズされた画像に変換されます。
今回はフォントをアウトライン化する必要性について、Illustratorでフォント(文字)をアウトライン化する方法などを解説します。
なぜ、印刷の入稿データでフォントのアウトライン化が必要なのか?
フォントをアウトライン化しておけば、字体や文字の配置状況を変えずに入稿データの表示そのままで印刷することができます。データの差し戻しや再送などの手間を回避する意味からもアウトライン化は必要です。
以上の理由から、印刷の入稿データではフォントのアウトライン化が必須となります。
アウトライン化ができないケースもある
アウトライン化すれば文字情報は消えますから、テキストの書き直しは不可能です。その場合はアウトライン化せずに、フォント自体をデータに埋め込む方法を採りますが、フォントの作成元でフォントの埋め込みを許可していないこともあるので忘れずに確認しておきましょう。
印刷に限らず、データの受け渡しをする時は「文字フォントをアウトライン化するか」「文字フォントを埋め込んで渡すか」の判断が欠かせないことを覚えておいて下さい。
Illustratorでフォント(文字)をアウトライン化する方法
Illustratorでアウトライン化する文字を選択して、以下の操作のどれか1つを行います。
- 文字を選択して右クリック、メニューから「アウトラインを作成」をクリックする
- パネルの「プロパティ」➔「クイック操作」の「アウトラインを作成」をクリックする
- メニューバーの「書式」➔「アウトラインを作成」をクリックする
- キーボードのショートカットキー「Shift」+「Ctrl」+「O(オー)」を押す
IllustratorでPDFのフォントをアウトライン化する方法
PDFで入稿する場合に、Illustratorで手軽に文字をアウトライン化することができます。
- 「ファイル」➔「配置」をクリックする
- PDFの保存場所でPDFファイルを選択して「配置」をクリックする
- Illustratorのアートボード内にPDFがリンクファイルとして配置される
- 「ドキュメント」➔「透明部分を分割・統合」をクリックする
- ダイアログが開いたら、「すべてのテキストをアウトラインに変換」のチェックを入れる
- 「OK」をクリックする
Illustratorでアウトライン化できているか確認する方法
データの受け渡し前に「アウトライン化できているか」を確認して処理することをおすすめします。フォント文字がアウトライン化されずに残ってしまうことがあり、これが原因でデータが差し戻されることもあるからです。
- メニューバーの「選択」➔「オブジェクト」➔「孤立点」をクリック
- 視認できない空白のフォント文字や孤立した点がアクティブになる
- DeleteかBackSpaceで一括消去する
- メニューバーの「選択」➔「オブジェクト」➔「すべてのテキストオブジェクト」をクリック
- アウトライン化されていないフォント文字がアクティブになる
- まとめてアウトライン化する
- メニューバーの「書式」➔「フォントの検索と置換」をクリック
- 「フォントの検索と置換」ダイアログボックスが開く
- 「ドキュメントフォント」にフォント名が表示されていないことを確認する
- 「完了」をクリックする

アウトライン化した文字の使い方
印刷などの入稿データで、文字が別のフォントに変換されるのを防ぐ目的でアウトライン化することは上述しました。それ以外にも、文字をアウトライン化するとフォント文字ではできない加工が可能になります。
テキストを一文字ずつバラバラに分解して編集・加工できる
一続きのテキストをアウトライン化すると、「グループ解除」でバラバラに分解して一文字ごとに違う色をつけたり、変形させたりできます。文字デザインの幅が広がりますね。
フォントの字体をパスで変形できる
Illustratorでアウトライン化した文字はパス化されますから、自由に字体を変形させることが可能になります。ダイレクト選択ツールでパスの一部を選択して引き伸ばしたり曲げたりできます。
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後からテキストを修正したくなっても、一度ベクター画像として保存してしまった文字にフォント情報を戻すのは無理なので、作成し直すことになります。
テキストの修正に備えて、アウトライン化する前に元の文字データを別名保存しておくと安心です。