Illustratorの自由変形ツールで立体的で遠近感のある絵を描く

※ Adobe Illustrator 2025の画像で解説しています。

CGDOOR
奥行きを持った立体的な絵や遠近感のある図形を描くには、Illustratorの「自由変形ツール」を使います。「自由変形ツール」には「固定」「自由変形」「遠近変形」「パスの自由変形」というサブ的なオプションツールが格納されていて、オブジェクトの形状を自在に変形することができます。

Illustratorの自由変形ツールで立体的で遠近感のある絵を描く1
Illustratorの自由変形ツールで描く立体的な絵のBefore➔After

今回はIllustratorで上図のように立体的で遠近感のある絵を描きながら、自由変形ツールの使い方を解説していきます。

自由変形ツールとオプションツールの使い方

自由変形ツールが見つけにくい時は、キーボードの「E」キーを押します。自由変形ツールのアイコンとオプションを素早く表示させることができます。

自由変形ツールを選択すると、オプションツールのアイコンが横一列に並んだウィジェットが表示されます。このツールの役割をそれぞれ見ていきましょう。

Illustratorの自由変形ツールで立体的で遠近感のある絵を描く2

固定

オブジェクトの縦横比を変えることなく変形するツールです。Shiftを押さなくても、そのままの比率で拡大縮小できます。本記事の作成例では比率を変えて立体化するので使いません。

自由変形

バウンディングボックスで拡大縮小する通常の変形作業を行うツールです。デフォルトではこのツールが選択されます。本記事の作成例では「遠近変形」や「パスの自由変形」で対象のオブジェクトを歪ませた後、サイズを調整するのに使います。

遠近変形

オブジェクトの遠近感を表現するツールです。四隅にある〇ハンドルの一つをドラッグすると、反対側に位置するハンドルが等幅で伸縮し、左右(上下)対称の台形を描きます。本記事の作成例ではグループ化した平面イラストに「遠近変形」を使います。このツールでは回転はできますが、拡大縮小ができないのでサイズの調整には「自由変形」を使います。

パスの自由変形

オブジェクトの形状を自由にゆがめるツールです。四隅にある〇ハンドルを一つずつドラッグして自由な位置に移動させ、パスを変形させることができます。本記事の作成例では「パスの自由変形」で長方形を平行四辺形に歪めて奥行きを作成しています。「遠近変形」よりも直感的に遠近法を適用でき、「遠近変形」後の微調整にも使います。


ここからは、実際に自由変形ツールを使って、立体的な絵を作成していきます。

Step1.平面の絵を描いてグループ化する

ペンツールや長方形ツールを使って、真正面から見た平面的な絵を描きます。

グラデーションやパターンを使ったオブジェクトがあるなら、グラデーションは「オブジェクト」メニュー➔「アピアランスを分割」を実行後、更に「分割・拡張」、パターンは「オブジェクト」メニュー➔「分割・拡張」を適用しておきます。この処理をし忘れると、後で遠近感を付ける際に、パターンだけ変形されなかったり、グラデーションの角度が不自然に傾いたりします。
Illustratorの自由変形ツールで立体的で遠近感のある絵を描く3
この絵は犬小屋の正面図ですが、小屋の木目グラデーションは「アピアランスを分割」➔「分割・拡張」しています。

描き終わったら選択ツールですべて選択して、Ctrl+Gでグループ化しておきます。

Step2.奥行きになる四角い図形を長方形ツールで描く

この例では、屋根の奥行きと壁の奥行きにする四角い図形を、それぞれ適当な大きさで描きます。パスの変形ツールで形を合わせていくので、サイズを考慮する必要はありません。

Illustratorの自由変形ツールで立体的で遠近感のある絵を描く4
壁の奥行きになる四角のグラデーションも「アピアランスを分割」➔「分割・拡張」しています。

Step3.自由変形ツールの「遠近変形」で遠近感を表現する

グループ化した平面イラストを選択して、「E」キーを押し、自由変形ツールのオプションアイコンを表示させます。左から3番目にある「遠近変形」のアイコンをクリックして、右辺の〇ハンドルを外側にドラッグして遠近感を付けます。

Illustratorの自由変形ツールで立体的で遠近感のある絵を描く5

Step4.自由変形ツールの「自由変形」でサイズを調整する

自由変形ツールのオプションアイコンの左から2番目にある「自由変形」のアイコンをクリックして、バウンディングボックスをドラッグしてサイズを調整します。

Step5.自由変形ツールの「パスの自由変形」で奥行きを作る

長方形ツールで描いた四角を選択し、自由変形ツールのオプションアイコンの右端にある「パスの自由変形」のアイコンをクリックして切り替えます。

左下の〇ハンドルをドラッグして三角屋根の頂点に合わせ、右下の〇ハンドルをドラッグして軒先に合わせます。次に左上の〇ハンドルをドラッグして上辺の位置を決め、右上の〇ハンドルをドラッグして上辺と下辺が平行になるように位置を合わせます。全体が屋根に沿った平行四辺形になるように変形します。

壁の奥行き用の四角も同様に、壁に沿った平行四辺形に変形します。

最後に全体を見て、不自然な角度などがあれば「パスの自由変形」で細かい補正をして完了です。

Illustratorの自由変形ツールで立体的で遠近感のある絵を描く6

合せて読みたい

※ Adobe Illustrator 2024の画像で解説しています。 CGDOOR Illustratorには初心者にも操作しやすい3D機能があります。今回はIllustratorを使った3Dイラストの作り方をご紹介しま[…]

Illustratorで2D平面イラストから3D立体イラストを作る方法
こちらもおすすめ

※ Adobe Illustrator 2024の画像で解説しています。 CGDOOR 「アウトライン化」とは? 印刷サービスにデータ入稿しようとすると「フォントのアウトライン化が必須」と言われますね。「アウトライン化」と[…]

Illustratorで「アウトライン化」する意味・方法・使い方
CGDOOR
Illustratorで立体的で遠近感のある絵を描く方法について解説しました。

なお、「文字」を含むオブジェクトに自由変形ツールで遠近感を付ける場合は、「書式」メニュー➔「アウトラインを作成」で文字をパス化してから実行しましょう。

Illustratorの自由変形ツールで立体的で遠近感のある絵を描く7