※ Adobe Illustrator 2025の画像で解説しています。

本サイトではAdobe IllustratorでAiデータをどのように作成・編集するかを記事にしていますが、今回はそもそも「Aiデータ」とは何か?について、その詳細をまとめてみたいと思います。
Aiデータとは?
Ai(エー・アイ)データはAdobe社によって作成・導入されたファイル形式です。生成aiの学習データとは別物なので、混同しないようにしましょう。
Adobe公式によると、2000年にそれまで使われていたEPS形式にはない透明機能を持ったAiデータが設計され、デザインや印刷の現場に普及していったということです。(※EPS形式のデータは現在でもIllustratorで開く・編集する・Aiデータに変換することが可能です)
Aiデータの拡張子
Aiデータは「ファイル名.ai」で保存されます。
Aiデータの優れた特徴
- 【特徴1】Aiデータは変形(拡大縮小)による劣化が無いベクターデータ
- Aiデータはベクターデータに特化した形式です。正式には「ネイティブベクターファイル形式」といい、点・線・面で構成され、常に数式で再計算されるため、どんなに拡大縮小しても鮮明さが劣化しないという特徴を持っています。
同じAdobeのソフトPhotoshopが扱うラスターデータはピクセル値で構成され、リアルな画像編集には向きますが、変形(拡大縮小)による劣化は避けられません。
そのため、特大サイズからアイコンまでのデザインが必要な企業ロゴの作成にはAiデータが最適な形式となっています。
- 【特徴2】Aiデータは編集データを保存できる
- Illustratorで作成・編集したAiデータはパス・レイヤー・アピアランスなどをそのまま保存できるので、スマホやタブレットからの確認・編集や共同作業がスムーズに行えます。
- 【特徴3】パスの描画で正確な図形が描ける
- ベクターデータ(Ai)の描画の基本はパスです。美しく滑らかな曲線を描くことができ、数値を指定して正確な図形を描くことができます。
- 【特徴4】Aiデータを印刷会社の入稿データに活用
- 印刷会社への入稿データにはAiデータが指定されることが多いと思います。上述したようにベクターデータは鮮明で劣化が無いので、印刷に最適です。デザインを志すなら、Aiデータの作成に慣れておくことが不可欠になります。
- 【特徴5】AiデータはPNG、JPG形式への書き出しや、PDF・EPS形式への変換が容易
- IllustratorでAiデータをPNGやJPG形式に書き出したり、PDF・EPS形式へ変換するには「ファイル➔別名で保存」や「ファイル➔書き出し」から簡単に行えます。PDF・EPSは元々同じAdobe社が開発したデータ形式であり、他の変換ソフトを使うより確かです。
Aiデータの注意点
- Aiデータの編集はAdobe Illustrator以外のソフトウェアでは限定的
- AiデータはAdobeのソフトIllustrator固有の形式です。Aiデータを他のソフトで開いて中を閲覧することは可能ですが、編集は簡単にはいきません。
フリーのソフトウェアでAiデータを編集できるものもありますが、機能は限定的だということを認識して利用されることをおすすめします。
- Aiの入稿データでは文字のアウトライン化、アピアランスの分割または分割・拡張、画像の埋め込みが必須
- Aiデータには文字フォントや適用した変形・ブレンドなどの情報がそのまま保存されているので、データを渡す相手先の環境によってはレイアウトが崩れる事態が予想されます。また、複雑なオブジェクトや混み合ったパスデータでファイルサイズが大きくなり過ぎてアップロードが完了しないこともあります。
Aiの入稿データを渡す前に必要になる処理
- アウトライン化 ➔ 文字やブラシをパス化してレイアウトが崩れないようにする
- アピアランスの分割 ➔ 適用した変形などが反映されなくなるのを回避
- 分割・拡張 ➔ アピアランスの分割ができない場合は分割・拡張で処理
- 画像の埋め込み ➔ リンクで配置するとサイズは軽くなるが、トラブルも起きやすい
- ラスタライズ ➔ オブジェクトに適用した効果やフィルターを画像化して統合する
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「Aiデータ」にはPhotoshopのPSDデータとは違う特徴があります。デザインの構成をAiデータで作り、PSDに書き出して加工する方法で制作しているクリエイターは多いと思います。Adobeの2つのソフトを使い分けていく上で、「Aiデータ」を理解するメリットは大きいでしょう。本記事が少しでも参考になれば幸いです。