※ Adobe Illustrator 2025の画像で解説しています。


今回はIllustratorの「ドロップシャドウ」で影を付ける方法、影の濃さ・色・角度を調整する方法、ドロップシャドウを編集・非表示・解除、ラスタライズする方法を解説します。
Step1.「ドロップシャドウ」の解像度を確認する
最初に「ドロップシャドウ」の解像度が適正に設定されているかを確認しましょう。解像度が低いと、ドロップシャドウで付けた影の境界線がカクカクして粗くなります。
「効果」メニュー➔「ドキュメントのラスタライズ効果の設定」をクリックして開き、解像度を300ppi以上に設定します。

Step2.Illustratorの「効果(Fx)」➔「スタイライズ」➔「ドロップシャドウ」を開く
ドロップシャドウで影を付ける文字や図形を選択し、アピアランスパネルの「Fx(新規効果を追加)」アイコンをクリック、「スタイライズ」➔「ドロップシャドウ」を選択して設定画面を開きます。

Step3.「ドロップシャドウ」で影を付ける設定
「ドロップシャドウ」の設定項目を1つずつ説明します。
描画モード【自然な影にする馴染ませ方】
「描画モード」は影を背景に合成する方法の選択です。ここはデフォルトで「乗算」になっています。影が背景に自然に馴染むようにするためには「乗算」が最も有効です。
不透明度【影の透過率】
「不透明度」は影をどのくらい透き通った状態にするかを%で指定します。不透明度の数値を下げるごとに背景がはっきり透過されて見えます。初期設定では75%ですが、個人的には少し影が濃すぎる気がするので30%~50%くらいで設定することが多いと思います。因みに、不透明度100%はベタ塗りの状態になります。
X軸オフセット・Y軸オフセット【影の移動距離と角度】
文字や図形からドロップシャドウの影が分離して移動する距離をX軸(横方向:正数で右へ移動、負数で左へ移動)とY軸(縦方向:正数で下へ移動、負数で上へ移動)それぞれで設定します。
影を右下斜めの角度に距離5ptで付けたいなら「X軸:5pt、Y軸5pt」と設定、影を下方向だけに距離5ptで付けたいなら「X軸:0pt、Y軸5pt」と設定、影を左上斜めの角度に距離5ptで付けたいなら「X軸:-5pt、Y軸-5pt」と設定します。

ぼかし【影の広がりと遠近感】
「ぼかし」は影の広がり具合と、見た目の遠近感を制御します。移動距離を大きくしてぼかしの数値を上げると、文字や図形が影を落とした背景から浮き上がって見えます。また、移動距離をX軸Y軸とも0にして、文字の周りにフワッとした光彩状のドロップシャドウを作る使い方もあります。
カラー【影の色】
「カラー」を指定することで、影の色を自由に変えることができます。通常、影の色は黒かグレーですが、影そのものを強調するデザインで特定の色を指定します。
濃さ【影の色の濃さ】
ドロップシャドウの「カラー」と「濃さ」はどちらか一方を選択することになります。「濃さ」を選択すると、ドロップシャドウを適用した文字や図形の本体の色が影に反映されます。この数値を上げると色に含まれる黒の割合が大きくなり、「濃さ」の数値を下げると色に含まれる黒の割合が小さくなります。

Step4.「ドロップシャドウ」を編集する
適用後に「ドロップシャドウ」を編集したい時は「アピアランス」パネルにある「ドロップシャドウ」をクリックして設定画面を再度開きます。
Step6.「ドロップシャドウ」を非表示にする
「ドロップシャドウ」を一時的に消したい時は、「アピアランス」パネルにある「ドロップシャドウ」の左横の目のアイコンをクリックすることで影の効果だけを非表示にできます。
Step7.「ドロップシャドウ」を解除する
「ドロップシャドウ」を完全に消したい時は、「アピアランス」パネルの「ドロップシャドウ」を選択した状態でメニューから「項目を削除」をクリックします。
Step8.「ドロップシャドウ」をラスタライズする
ドロップシャドウを適用したデータファイルを、そのまま印刷に回すと、ドロップシャドウが印刷結果に反映されないことがあります。これを回避するため、印刷する前にドロップシャドウをラスタライズしておく必要があります。
ラスタライズするオブジェクトを選択して「オブジェクト」➔「ラスタライズ」をクリック、設定画面で内容を確認、または変更して「OK」をクリックします。
※ Adobe Photoshop 2024の画像で解説しています。 ※影を付けるサンプルに使用した写真は「Adobe Stock」及び「ぱくたそ」のフリー素材です。(サイト掲載の写真・画像について) CGDOOR 画像や[…]
※ Adobe® Illustrator® software (2024)を使って解説しています。 CGDOOR Illustratorの「アピアランス」は、文字や図形などのオブジェクト属性を変えずに、装飾・加工できる機[…]

Illustratorで影を付ける効果「ドロップシャドウ」はPhotoshopのドロップシャドウと比べると適用しにくい面もありますが、ベクターデータに自然な影を付けられる便利な機能です。ドロップシャドウだけでなく、Illustratorのスタイライズにある「ぼかし」「光彩(内側)」を使って文字や図形の内側に影を付けたり、人物の足元に影を付けたりすることも可能です。
描画モードやぼかしの設定を最適化してIllustratorの「ドロップシャドウ」を上手に活用して下さい。