Illustratorで図形を組み合わせて結合・分割するパスファインダー

※ Adobe Illustrator 2024の画像で解説しています。

CGDOOR
イラレ初心者が覚えたいテクニックに、図形と図形を合体させて1つにしたり、重ねて切り抜いたりする「パスファインダー」機能があります。

今回は「パスファインダー」についての基礎知識、「パスファインダー」の種類、どんなことができるか、使い方の基本をIllustratorの初心者にも分かりやすく図解します。

「パスファインダー」って何?

「PathFinder(パスファインダー)」は一般に道案内などを意味しますが、Illustratorの「パスファインダー」はパスを持つオブジェクトを重ねて結合・型抜き・分割・除外を実行する機能のことです。

「パスファインダー」を使うと、2つの形を組み合わせて合体させたりバラバラに分割させたりして、自由な形状を作ることができます。

「パスファインダー」パネルの表示

「パスファインダー」がパネルに追加されていない場合は、「メニューバー」の「ウィンドウ」から表示させます。

パスファインダー1

「パスファインダー」の種類

「パスファインダー」には「形状モード」と「パスファインダー」に分けられた10種類の合成コマンドがあります。

形状モード
「形状モード」は4種類です。

Altキー(MacではOption)を押しながら合成ボタンをクリックすると複合シェイプが追加されます。複合シェイプが追加されると合成前のパスが維持され、オブジェクトを変形したり重なり位置を変更したりなどの編集が可能です。複合シェイプを解除すれば、元の形状に戻すこともできます。

パスファインダー
「パスファインダー」は6種類です。

「パスファインダー」で分割されたオブジェクトは、自動でグループ化されます。

塗りと線の色が異なる正方形と正円のオブジェクトを2つ斜めにずらして重ねています。これを元に、それぞれのパスファインダーを説明します。

合体

合体前 合体後 合体後のパス 複合シェイプ
パスファインダー合成前の2つのオブジェクト 合体後 合体後のパス 合体 複合シェイプ
  • 「形状モード」の「合体」は重なったままの形状で複数のオブジェクトが1つに結合されます
  • 「合体」された結果は最前面にあるオブジェクトの塗りと線になります
  • 合体後は閉じたパスになります
  • Alt(MacではOption)で複合シェイプにすると、元のオブジェクトのパスが維持されて編集可能になり、解除すれば合体前に戻ります

前面オブジェクトで型抜き

型抜き前 型抜き後 型抜き後のパス 複合シェイプ
パスファインダー合成前の2つのオブジェクト 前面オブジェクトで型抜き後 前面オブジェクトで型抜き後のパス 前面オブジェクトで型抜き 複合シェイプ
  • 「形状モード」の「前面オブジェクトで型抜き」は背面のオブジェクトを前面のオブジェクトの形状でくり抜きます
  • 「前面オブジェクトで型抜き」された結果は背面にあるオブジェクトの塗りと線になります
  • 型抜き後は閉じたパスになります
  • Alt(MacではOption)で複合シェイプにすると、元のオブジェクトのパスが維持されて編集可能になり、解除すれば型抜き前に戻ります

交差

交差前 交差後 交差後のパス 複合シェイプ
パスファインダー合成前の2つのオブジェクト 交差後 交差後のパス 交差 複合シェイプ
  • 「形状モード」の「交差」はオブジェクト同士が重なり合う部分だけを残し、他を除外します
  • 「交差」の結果は最前面にあるオブジェクトの塗りと線になります
  • 交差後は閉じたパスになります
  • Alt(MacではOption)で複合シェイプにすると、元のオブジェクトのパスが維持されて編集可能になり、解除すれば交差前に戻ります

中マド

中マド前 中マド後
パスファインダー合成前の2つのオブジェクト 中マド後
  • 「形状モード」の「中マド」はオブジェクト同士が重なり合う部分を除外し、他を結合します
  • 「中マド」の結果は最前面にあるオブジェクトの塗りと線になります
中マドのパスと複合シェイプのパス
「中マド」を実行した後のパスとAlt(MacではOption)で複合シェイプにしたパスは見た目が同じで、違いが分かりづらいので、補足説明します。

「中マド」後のオブジェクトは切り抜かれた形状のパスが作られます。一方、複合シェイプのパスは元の正方形と円のパスが維持されます。
複合シェイプの円のパスを選択して移動させると、動きに応じて「中マド」の形状は変化します。結果を確認しながら編集できるわけですね。これは「中マド」に限らず、「形状モード」の複合シェイプでは全て同じです。

「中マド」を実行した後のパスとAlt(MacではOption)で複合シェイプにしたパスの違い

分割

分割前 分割後 グループ化の内訳
パスファインダー合成前の2つのオブジェクト 分割後 分割 グループ化の内訳
  • 「パスファインダー」の「分割」は重なり合う複数のオブジェクトの境界線で分割します
  • 分割されたオブジェクトは自動でグループ化されます
  • グループを解除すれば、分割されたそれぞれのオブジェクト単位で編集できます

刈り込みと合流

「塗り」の色が違うオブジェクトの組み合わせ

刈り込み・合流前 刈り込み・合流後 グループ化の内訳
パスファインダー合成前の2つのオブジェクト 刈り込み・合流後 刈り込み・合流 グループ化の内訳
  • 「塗り」の色が違うオブジェクトの組み合わせに「刈り込み」と「合流」を実行すると、前面オブジェクトと前面オブジェクトで型抜きされた背面オブジェクトに分割され、線は除外されます
  • 分割されたオブジェクトは自動でグループ化されます
  • グループを解除すれば、分割されたそれぞれのオブジェクト単位で編集できます
「塗り」の色が同じオブジェクトの組み合わせ

刈り込み・合流前 刈り込み・合流後 刈り込みグループ化の内訳 合流グループ化の内訳
「塗り」の色が同じ2つのオブジェクト 刈り込み・合流後 刈り込み グループ化の内訳 合流 グループ化の内訳
  • 「塗り」の色が同じオブジェクトの組み合わせに「刈り込み」を実行すると「塗り」の色が違うオブジェクトの組み合わせと同じ形状で分割されます
  • 「塗り」の色が同じオブジェクトの組み合わせに「合流」を実行すると1つのオブジェクトに結合されます
  • 「刈り込み」と「合流」のどちらも線は除外されます

切り抜き

切り抜き前 切り抜き後 切り抜き グループ化の内訳
パスファインダー合成前の2つのオブジェクト 切り抜き後 切り抜き グループ化の内訳
  • 「パスファインダー」の「切り抜き」は最前面のオブジェクトをアウトライン化し、そのオブジェクトが重なる部分だけを残して他の部分と線を除外します
  • 背面のオブジェクトの「塗り」を継承します

アウトライン

アウトライン化前 アウトライン化後 アウトライン グループ化の内訳
パスファインダー合成前の2つのオブジェクト アウトライン化後 アウトライン グループ化の内訳
  • 「パスファインダー」の「アウトライン」は重なったオブジェクトをアウトライン化します
  • 重なるパスは分割されます

背面オブジェクトで型抜き

型抜き前 型抜き後
パスファインダー合成前の2つのオブジェクト 背面オブジェクトで型抜き後
  • 「パスファインダー」の「背面オブジェクトで型抜き」は前面のオブジェクトを背面のオブジェクトの形状でくり抜きます
  • 「背面オブジェクトで型抜き」された結果は前面にあるオブジェクトの塗りと線になります
  • 型抜き後は1つの閉じたパスになります
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